○妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントの防止等に関する要綱

令和2年5月29日

訓令第47号

(趣旨)

第1条 この要綱は,人事行政の公正の確保,職員の利益の保護及び職員の能力の発揮を目的として,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントの防止のための措置及び妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントが生じた場合に適切に対応するための措置に関し,必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要綱において,「妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメント」とは,職場における次に掲げるものをいう。

(1) 職員に対する次に掲げる事由に関する言動により当該職員の勤務環境が害されること。

 妊娠したこと。

 出産したこと。

 妊娠又は出産に起因する症状により勤務することができないこと若しくはできなかったこと又は能率が低下したこと。

 不妊治療を受けること。

(2) 職員に対する妊娠又は出産に関する制度又は措置の利用に関する言動により当該職員の勤務環境が害されること。

(3) 職員に対する育児に関する制度又は措置の利用に関する言動により当該職員の勤務環境が害されること。

(4) 職員に対する介護に関する制度又は措置の利用に関する言動により当該職員の勤務環境が害されること。

(町長の責務)

第3条 町長は,職員がその能力を十分に発揮できるような勤務環境を確保するため,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントの防止に関し,必要な措置を講ずるとともに,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントが生じた場合においては,必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 町長は,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントに関する苦情の申出,当該苦情等に係る調査への協力その他妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントが生じた場合の職員の対応に起因して当該職員が職場において不利益を受けることがないようにしなければならない。

3 町長は,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントの防止等のため,職員に対し,研修を実施する等職員の意識の啓発及び知識の向上を図らなければならない。

(職員の責務)

第4条 職員は,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントを生じさせる言動をしてはならない。

2 職員は,別紙第1に定める指針を十分認識して行動するよう努めなければならない。

3 管理又は監督の地位にある職員は,良好な勤務環境を確保するため,日常の執務を通じた指導等により妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントの防止に努めるとともに,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントが生じた場合には,迅速かつ適切に対処しなければならない。

(苦情相談への対応)

第5条 妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントに関する苦情の申出及び相談(以下「苦情相談」という。)が職員からなされた場合に対応するため,苦情相談を受ける職員(以下「相談員」という。)を総務課に配置する。

2 相談員は,苦情相談に係る問題の事実関係の確認及び当該苦情相談に係る当事者に対する助言等により,当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めるものとする。この場合において,相談員は,別紙第2に定める指針に十分留意しなければならない。

3 職員は,相談員に対して苦情相談を行うほか,東臼杵郡公平委員会に対しても苦情相談を行うことができる。この場合において,東臼杵郡公平委員会は,苦情相談を行った職員等から事情の聴取を行う等の必要な調査を行い,当該職員等に対して指導,助言及び必要なあっせん等を行うものとする。

この要綱は,令和2年6月1日から施行する。

(令和3年12月14日訓令第53号)

この要綱は,令和4年1月1日から施行する。

別紙第1(第4条関係)

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントをなくするために職員が認識すべき事項についての指針

第1 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントを生じさせないために職員が認識すべき事項

1 基本的な心構え

職員は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントを生じさせないために、次の事項について十分認識しなければならない。

一 妊娠、出産、育児又は介護に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動を含め、他の職員の妊娠、出産、育児又は介護の否定につながる言動(当該職員に直接行わない言動も含まれる。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。)は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となること。

二 仕事と妊娠、出産、育児又は介護とを両立するための制度又は措置があること。

2 監督者として認識すべき事項

監督者は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントを生じさせないために、次の事項について十分認識しなければならない。

一 妊娠した職員がつわりなどの体調不良のため勤務ができないことや能率が低下すること、制度等の利用をした職員が正規の勤務時間の一部を勤務しないこと等により周囲の職員の業務負担が増大することも妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となること。

二 業務体制の整備など、職場や妊娠等をし、又は制度等の利用をした職員その他の職員の実情に応じ、必要な措置を講ずること。

例えば、業務体制の整備については、妊娠等をし、又は制度等の利用をした職員の周囲の職員への業務の偏りを軽減するよう、適切に業務分担の見直しを行うことや、業務の点検を行い、業務の効率化等を行うものとする。

3 妊娠等をし、又は制度等の利用をする職員として認識すべき事項

妊娠等をし、又は制度等の利用をする職員は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を受けないために、次の事項について十分認識しなければならない。

一 仕事と妊娠、出産、育児又は介護とを両立していくために必要な場合は、妊娠、出産、育児又は介護に関する制度等の利用ができるという知識を持つこと。

二 周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら自身の体調や制度等の利用状況等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと。

4 懲戒処分

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの態様等によっては信用失墜行為、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行などに該当して、懲戒処分に付されることがある。

第2 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントが生じた場合において職員に望まれる事項

1 基本的な心構え

職員は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を受けた場合にその被害を深刻にしないために、次の事項について認識しておくことが望まれる。

一 一人で我慢しているだけでは、問題は解決しないこと。

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を無視したり、受け流したりしているだけでは、必ずしも状況は改善されないということをまず認識することが大切である。

二 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動に対する行動をためらわないこと。

被害を深刻なものにしない、他に被害者をつくらない、さらには妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく良い勤務環境の形成に重要であるとの考えに立って、勇気を出して行動することが求められる。

2 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を受けたと思うときに望まれる対応

職員は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を受けた場合、次のような行動をとるよう努めることが望まれる。

一 自分の意に反することは相手に対して明確に意思表示をすること。

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動に対しては毅(き)然とした態度をとること。すなわち、はっきりと自分の意思を相手に伝えることが重要である。直接相手に言いにくい場合には、手紙等の手段をとるという方法もある。

二 信頼できる人に相談すること。

まず、職場の同僚や知人等身近な信頼できる人に相談することが大切である。各職場内において解決することが困難な場合には、内部又は外部の相談機関に相談する方法を考える。なお、相談するに当たっては、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を受けた日時、内容等について記録しておくことが望ましい。

別紙第2(第5条関係)

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針

第1 基本的な心構え

職員からの苦情相談に対応するに当たっては、相談員は次の事項に留意する必要がある。

1 被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。

2 事態を悪化させないために、迅速な対応を心がけること。

3 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知り得た秘密を厳守すること。

第2 苦情相談の事務の進め方

1 苦情相談を受ける際の相談員の体制等

一 苦情相談を受ける際には、原則として2人の相談員で対応すること。

二 苦情相談を受けるに当たっては、苦情相談を行う職員(以下「相談者」という。)の希望する性の相談員が同席するよう努めること。

三 相談員は、苦情相談に適切に対応するために、相互に連携し、協力すること。

四 実際に苦情相談を受けるに当たっては、その内容を相談員以外の者に見聞されないよう周りから遮断した場所で行うこと。

2 相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項

相談者から事実関係等を聴取するに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

一 相談者の求めるものを把握すること。

将来の言動の抑止等、今後も発生が見込まれる言動への対応を求めるものであるのか、又は喪失した利益の回復、謝罪要求等過去にあった言動に対する対応を求めるものであるのかについて把握する。

二 どの程度の緊急性があるのかについて把握すること。

相談者の心身の状態等に鑑み、苦情相談への対応に当たりどの程度の緊急性があるのかを把握する。

三 相談者の主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聴くこと。

特に相談者が被害者の場合、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る言動を受けた心理的な影響から必ずしも理路整然と話すとは限らない。むしろ脱線することも十分想定されるが、事実関係を把握することは極めて重要であるので、忍耐強く聴くよう努める。また、相談員自身の評価を差し挟むことはせず、相談者の心情に配慮し、その主張等を丁寧に聴き、相談者が認識する事実関係を把握することが必要である。

四 事実関係については、次の事項を把握すること。

(1) 当事者(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの被害者及び行為者とされる者)間の関係

(2) 問題とされる言動が、いつ、どこで、どのように行われたか。

(3) 相談者は、行為者とされる者に対してどのような対応をとったか。

(4) 監督者等に対する相談を行っているか。

なお、これらの事実を確認する場合、相談者が主張する内容については、当事者のみが知り得るものか、又は他に目撃者はいるのかを把握する。

五 聴取した事実関係等を相談者に確認すること。

聞き間違えの修正並びに聞き漏らした事項及び言い忘れた事項の補充ができるので、聴取事項を書面で示したり、復唱したりするなどして相談者に確認する。

六 聴取した事実関係等については、必ず記録して保存しておくとともに、当該記録を厳重に管理すること。

3 行為者とされる者からの事実関係等の聴取

一 原則として、行為者とされる者から事実関係等を聴取する必要がある。ただし、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントが比較的軽微なものであり、対応に緊急性がない場合などは、監督者の観察又は指導による対応が適当な場合も考えられるので、その都度適切な方法を選択して対応する。

二 行為者とされる者から事実関係等を聴取する場合には、行為者とされる者に対して十分な弁明の機会を与える。

三 行為者とされる者から事実関係等を聴取するに当たっては、その主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聴く、聴取した事実関係等を行為者とされる者に確認するなど、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。

4 第三者からの事実関係等の聴取

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合などは、第三者から事実関係等を聴取することも必要である。

この場合、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。

5 相談者に対する説明

苦情相談に関し、具体的にとられた対応については、相談者に説明する。

妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントの防止等に関する要綱

令和2年5月29日 訓令第47号

(令和4年1月1日施行)

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沿革情報
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