○有害鳥獣駆除事務取扱要綱
平成12年3月31日
告示第48号
(総則)
第1条 野生鳥獣による農林作物等の被害を防除するために実施する有害鳥獣駆除の許可及びその事務の取扱は,次に掲げる関係法令等で定めるもののほか,この要綱の定めるところによる。
(1) 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号。以下「法」という。)
(2) 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則(平成14年環境省令第28号。以下「省令」という。)
(有害鳥獣駆除についての基本的な考え)
第2条 有害鳥獣駆除許可にあたっては,次の事項を基本的に行うものとする。
(1) 法第9条に基づく有害鳥獣駆除の許可は,鳥獣による農林水産物被害,生活環境の悪化,人身への危害又は植生の衰退や在来種の圧迫等の自然生態系の攪乱(以下「被害等」という。)が生じている場合又はそのおそれのある場合において,被害等防除対策によっても被害等が防止できないときにのみ行うものとする。
(2) 生息数の少ない鳥獣の駆除は特に慎重に取扱うこととする。かかる鳥獣については,捕獲した後,被害等が及ぶおそれの少ない地域へ再放鳥獣し,生息数の確保に努めることも検討する。
(申請に関する処置)
第3条 申請の受理
(1) 町長は,町長許可に係る法第9条第1項の規定による鳥獣捕獲許可申請書(規則様式第1号(表面)。以下「申請書」という。)の提出を受けた場合は,記載事項及び次の添付書類を審査し受理・不受理を決定するものとする。
ア 鳥獣捕獲許可申請者名簿(規則様式第1号(裏面)以下「申請者名簿」という。)
イ 有害鳥獣駆除従事者名簿(規則様式第3号。以下「従事者名簿」という。)
ウ 有害鳥獣駆除依頼書(規則様式第2号。以下「依頼書」という。)
エ 被害区域及捕獲予定区域図(5万分の1。以下「被害位置図等」という。)
オ 捕獲事由の証明書(被害状況写真等。以下「被害写真等」という。)
なお,申請者は別表1の許可基準に定める者とし,申請に係る上記の添付書類は,申請者ごとに次のとおり区分する。
申請者 | 地方公共団体等及び法人 | 被依頼者 | 被害者 |
添付書類 | 従事者名簿 被害写真等 被害位置図等 | 申請者名簿 依頼書 被害写真等 被害位置図等 | 申請者名簿 被害写真等 被害位置図等 |
(2) 被害位置図等は5万分の1の図面に被害区域及び捕獲予定区域,網,わなを使用する場合はその位置箇所を図示するものとする。
2 申請の許可
町長は,申請書を受理した場合は,別表1に基づく許可基準により審査し,許可を規定したときは,速やかに鳥獣捕獲許可証(省令様式第1号。以下「許可証」という。)又は従事者証(省令様式第2号)を交付するとともに,有害鳥獣捕獲許可台帳(別添1。以下「許可台帳」という。)に記載するものとする。
また,法人に対する鳥獣捕獲の許可に当たっては,当該法人に対し,指揮監督の適正を期するため,必要に応じ,別添2の鳥獣捕獲事業指示書を従事者に交付するとともに,別添3の鳥獣捕獲従事者台帳を整備するよう指導するものとする。
3 申請の不許可
不許可を決定したときは,その事由を申請者に通知するものとする。
4 通知
町長は,申請者に許可証を交付したときは,次の者に被許可者及び駆除実施者の住所,氏名,駆除期間,駆除区域,駆除方法,鳥獣の種類,許可頭羽数,被害作物,被害面積,被害額を通知するものとする。(別添4)
ア 東臼杵農林振興局長
イ 日向警察署長
ウ 鳥獣保護員
エ 猟友会支部長
(発生予察による駆除)
第4条 発生予察による駆除(以下「予察駆除」という。)は,常時駆除を行い生息数を低下させる必要があるほど強い害性が認められる場合のみ許可するものとする。
2 申請者は被害等の状況に基づき,鳥獣による被害別に被害時期,被害作物等について,翌年度を対象とし有害鳥獣被害発生予察表(別添5。以下「予察表」という。)により,被害発生予察を行うものとする。
3 発生予察は,過去5年間の鳥獣による被害等の発生状況及び鳥獣の生息状況を検討し,必要最小限の区域を発生予察地域として区分するものとする。
4 町長は,予察駆除を実施するに当たっては,過去の被害状況及び捕獲実績を勘案し,駆除予定数並びに効果的な駆除の方法,駆除の時期について審査し,必要に応じて現地調査を行い,被害発生の予兆等及び駆除の必要性を確認のうえで許可するものとする。
5 予察駆除の申請は,原則として国,地方公共団体又は法第9条第8項の規定により環境大臣の定める法人が行うものとする。
(駆除実施に当たっての指導等)
第5条 町長は,被害及び駆除区域が複数市町村をまたがる場合にあっては,関係市町村長と協議し,駆除の円滑化を図るものとする。
2 町長は,駆除実施に当たり短期間に最大の効果をあげるよう督励するとともに危険防止,法令の尊守等の指導を行うものとする。
3 駆除実施者は,駆除に従事するときは,必ず許可証等を携帯するとともに,腕章を着用するものとする。
4 町長は,駆除従事者がわな,網等を使用するときは,1個ごとに許可を受けた者の住所,氏名,許可期間,許可番号を明記した標識を設置させ,期間終了後わな,網等の撤去を確実に実施させるなど適切な管理を行うものとする。
(許可証等の管理)
第6条 許可証等の管理については次のとおり行うものとする。
(1) 住所等の変更
町長は,許可証等を添えて省令第7条第11項又は第12項の規定による許可証等の変更届出(規則様式第6号)があった場合は,許可台帳にその旨を記載し,許可証を書き換えて交付するものとする。
(2) 許可証等の亡失の届出・再交付
町長は,省令第7条第13項及び第14項の規定による許可証等の亡失の届出並びに省令第7条第10項の規定による許可証等の申請(規則様式第6号)があった場合には,許可台帳にその旨を記載し,許可証等を再交付するものとする。
(3) 許可証等の返納
町長は,省令第9条第11項の規定による許可証等の返納があったときは,許可台帳にその旨を記載するものとする。
また,許可証等の返納は,有効期間満了後30日以内に町長に返納するものとする。
(報告)
第7条 町長は,鳥獣行政事務処理状況報告書(別添7)に許可台帳(写し)を添付して翌年度の4月15日までに知事に報告するものとする。
(報償金)
第8条 町長は,捕獲許可に基づき有害鳥獣を捕獲した者に対して,予算の範囲内において報償金を交付する。
2 報償金交付事業の期間は,毎年4月1日から翌年3月31日までとする。ただし,交付対象は町の捕獲許可を受けて捕獲したものに限る。
3 第1項に規定する報償金の額及び確認方法は下表のとおりとし,町の捕獲許可を受けて捕獲したものに限る。
対象有害鳥獣 | 報償金額 (1頭につき) | 捕獲確認 |
サル(成獣) | 30,000円 | 捕獲獣の尻尾を役場に提出する。 |
シカ(成獣) | 8,000円 | 同上 |
イノシシ(幼獣) | 3,000円 | 同上 |
4 報償金の交付申請書の様式は様式第1号とする。
5 町長は,報償金の交付を受けた者が,次の各号のいずれかに該当したときは,交付した報償金の全部もしくは一部を返還させることができる。
(1) 提出書類の記載事項に偽りがあったとき。
(2) 前号に掲げる者のほか,不正な行為があったとき。
(その他)
第9条 捕獲物については,鉛中毒等事故等の問題を引き起こすことのないよう,山野に放置することなく,捕獲の目的に照らして適正に処理し,野生鳥獣の保護管理に関する学術研究,環境教育などに利用できる場合は,努めてこれを利用するものとする。
町長は,鳥獣保護の適正な推進を図る上で必要な資料を得るため適当と認める場合は,捕獲個体の種毎に性別,年齢,体長,体重等についての調査を,駆除実施者に依頼し,その協力要請に努めるものとする。
(1) 町長は,駆除に伴う違反・事故等が発生した場合は,速やかに知事に報告するものとする。
附則
この告示は,平成12年4月1日から施行する。
附則(平成22年7月1日要綱第13号)
この告示は,平成22年7月1日から施行する。
附則(平成25年10月16日告示第31号)
この告示は,交付の日から施行し,平成25年4月1日から適用する。
附則(令和元年10月18日告示第6号)
この告示は,公表の日から施行する。
附則(令和6年4月19日訓令第27号)
この訓令は,公表の日から施行し,令和6年4月1日から適用する。
別表1(第3条関係)
有害鳥獣駆除許可基準
(2―1)
事項 | 許可基準 |
申請者 | (1) 国及び地方公共団体(以下「地方公共団体等」という。) (2) 法第9条第8項の規定により環境大臣の定める法人(農業協同組合,森林組合等。以下「法人」という。) (3) 被害者から有害鳥獣駆除の依頼された者(以下「被依頼者」という。) (4) (2)及び(2)以外の被害者(法定猟具使用の場合は,申請前1か年に宮崎県狩猟者登録を受けている者に限る。) |
駆除実施体制 | (1) 捕獲効果の向上と駆除実施に伴う危険防止,弊害防止のため,原則として共同駆除(駆除班)という。 (2) 駆除班は,3名以上とし,有効な駆除を実施するための必要最小限の人数とする。 また,班には班を代表し,及び総括するものとして班長を置くものとする。 |
駆除実施者 | 原則として,地区有害鳥獣駆除対策協議会が編成する地区有害鳥獣駆除班員とする。 ただし,森林管理署が自ら経営管理する国有林野及び官公造林地等において実施する駆除にあっては,この限りではない。 |
許可区域 | 原則として,町の区域内とし,有害鳥獣の生息状況及び被害の状況等を勘案のうえ,被害の発生している区域及び被害発生のおそれのある必要最小限の区域にとどめる。 ただし,次の場合はこの限りではない。 (1) 被害地の市町村又は地区会長,農林委員長等から駆除班の派遣申請を受け,その必要が認められた場合。 (2) 捕獲区域が隣接市町村にまたがらなければ駆除の効果が期待できない場合。(この場合は,関係市町村との協議が必要。) 鳥獣保護区等の捕獲禁止区域内の駆除については,慎重に取り扱うものとする。 |
駆除方法 | (1) 駆除の方法は,従来の駆除実績を考慮するなど最も効果的なものとする。 (2) わな及び網による駆除は,必要性が認められる場合にのみ許可するものとする。 (3) 空気銃やガス銃による駆除は,半矢の危険性の少ない中小型鳥類のみとする。 |
(2―2)
事項 | 許可基準 |
許可頭(羽)数及び許可期間 | 許可頭(羽)数は,被害等の防止の目的を達成するために必要最小限の頭(羽)数とし,許可期間は,原則として被害が生じている時期のうち,最も効果的に駆除が実施できる時期における,必要最小限度にとどめるものとすること。なお,鳥獣の種別の許可期間及び頭(羽)数はおおむね下記事項のとおりとする。 また,原則として,鳥類の繁殖期・狩猟期間の始期及び終期の前後15日間は避けるものとする。 (1) イノシシ 許可期間は原則として1年以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数を限度として許可する。 (2) シカ 許可期間は原則として1年以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数を限度として許可する。 (3) ノウサギ 許可期間は原則3か月以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数とするが,原則40羽以内として許可する。 (4) サル 許可期間は原則1年以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数を限度として許可する。 (5) カラス・ドバト 許可期間は原則6か月以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数を限度として許可する。 (6) カワウ 許可期間は原則3か月以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数を限度として許可する。 (7) アナグマ・アライグマ・タヌキ 許可期間は原則6か月以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭数を限度として許可する。 (8) 鳥獣の卵の採取 許可期間は加害状況に応じて必要日数を限度とし,1回あたりの捕獲数は前記期間同様に加害状況に応じ,必要頭数を限度として許可する。 (9) その他の鳥獣 許可期間は原則1か月以内とし,1回あたりの捕獲数は加害状況に応じ必要頭(羽)数を限度として許可する。 (10) 発生予察制度の適用による駆除許可 許可区域,期間,捕獲頭(羽)数については,上記に準じて許可する。 |