門川町

カンムリウミスズメ

カンムリウミスズメ

ずんぐりむっくりで飛ぶのが苦手
なんとも愛くるしいこの海鳥は、春になると姿を現し
5月下旬にいなくなる不思議な鳥だ
そして今、絶滅の危機を迎えている

カンムリウミスズメ

枇榔島周辺の波間に、愛くるしいカンムリウミスズメの姿が見え隠れするようになると、門川の春はもうすぐそこ。
カンムリウミスズメは5月下旬頃に、突然どこかへと旅立ち姿を消し、そしてまた次の年、春の訪れを告げるかのように帰ってきます。
彼らはいったい、どこから来て、どこへ行くのか、その生態については完全には解明されてはいませんが、1~2月頃、宮崎県の海岸沿いを北上する姿がよく観察されていますので、南のほうからやってくるのではないかと考えられています。
カンムリウミスズメは、ペンギンを小さくしたような格好をして体長20数センチ、小太りな体、比較的短い翼と足のため、飛ぶのが苦手と言われています。そのかわり、足は少し後方にあり、泳ぐのに適していて、1年の大半を海上で過ごします。潜るときは足をあまり使わず、ペンギンのように翼を使って水中を飛ぶように泳ぎます。
首から頭部にかけては黒色で、頭頂部は円形に白く、その上に冠のように見える長い羽根が生えているのが特徴で、これが由来ともなっています。背面は灰青色で、腹部は白色。繁殖が終わると早い時期に羽根が抜け代わり始め、頭部の冠状の飾り羽は短くなり、頭の部分はごま状態になります。

ほとんどを海の上で暮らす 

繁殖期には離島や離礁で生活しますが、それ以外はもっぱら洋上生活を送ります。
枇榔島には毎年12月末ごろから飛来しはじめ、3月中旬からの産卵時期に1羽が2個の卵を産みます。雌雄交代で約30日間抱卵したあと、4月末から5月中旬にかけてヒナがふ化します。
そして、何より驚くのは、その巣立ちの仕方です。ヒナは生まれた翌日に、もう巣立ちを始めます。真夜中、なんと高さ50メートルもの断崖絶壁を転げ落ちながら海へ向かいます。体を岩に打ちつけ、深い穴に落ち、それでも勇気をふりしぼって飛びおります。親鳥は海で鳴きながらじっとヒナを待ち、ようやく海にたどりついたヒナと一緒に洋上の旅へと出発します。
一体なぜそんな過酷な巣立ち方を選ぶのか、これも謎のひとつです。

カンムリウミスズメ

どれくらいいるの? 

カンムリウミスズメは、日本近海に約5000~6000羽生息していると推定されていますが、日本近海にしかいませんので、世界中でもこの数だけということになります。繁殖期には、枇榔島周辺の海上に約3000羽が生息していますが、これは世界の約半数にあたる数です。

絶滅の危機

しかし、世界的に貴重なこの鳥は、絶滅の危機にさらされています。
その原因としては、釣り人のマナー、天敵であるカラスなどがあげられますが、最も深刻なのは地球温暖化による自然環境の悪化、人工物の海洋汚染によるもので、どうすれば保護できるかを考える時、最重要課題として環境問題に目を向けなければなりません。
門川のカンムリウミスズメが世界中に知られるようになったのは、北海道海鳥センター研究員の小野宏治氏と、宮崎大学フロンティア科学実験総合センターの中村豊氏の発表がきっかけでした。これを受けてアメリカの調査員が4名来日し、その後も毎年のように国内外から多くの人が調査や観察にやってきます。
この素晴らしい自然と、そこで暮らすカンムリウミスズメを、町民をあげて保護、情報発信をするために、2005年、町制施行70周年を記念して「町の鳥」に制定しました。
かけがえのない自然を守り、人にやさしい、自然にやさしい町づくりを展開する門川町とそして、空と海の間に生きるカンムリウミスズメの不思議な命の営みがいつまでも続くことを願ってやみません。

みんなで守ろうカンムリウミスズメ~保護活動に取り組む子どもたち~

カンムリウミスズメを保護するために立ち上がった子どもたちがいました。
「みんなで守ろうカンムリウミスズメ」を合い言葉に、自分達にできることは何かを考え、活動を開始。ポスターやチラシ、しおり等を作り、町の人々に環境のことやカンムリウミスズメのことを懸命に訴えました。
やがて彼らの活動は周囲を動かします。「カンムリウミスズメ博士」と言われる北海道海鳥センター研究員の小野宏治氏との交流を始め、全国の愛鳥家や研究者、そして地元の人々の応援があり、そして、自分達の卒業記念に制作した絵本「カンムリウミスズメ絵物語」を、町の役場や県立博物館、図書館へ届けたことをきっかけに、平成14年の3月、県立博物館が企画した「生き物たちからのSOS」の中で、「カンムリウミスズメ絵物語」を紹介することができ、その年の10月に開催された日本海鳥シンポジウムでは、子どもたちの取り組みが紹介され、また、(財)日本野鳥の会発行の雑誌「野鳥」(平成15年2月号)で特集雑誌として取り上げられました。

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